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【タックル法律講話】恐ろしいドメスティックバイオレンス(DV)! 仲裁に入った妻の友人女性が刺殺される痛ましい事件が…
2013/03/07
恐ろしいドメスティックバイオレンス(DV)!
仲裁に入った妻の友人女性が刺殺される痛ましい事件が…
DVは「相互依存」
去る一月三十一日、福岡市内で、夫婦の別れ話の仲裁に入った妻の友人女性を包丁で刺し殺したとして、その夫(二十七歳)が逮捕されましたね。妻は、昨年十二月に結婚したのですが、夫の暴力に耐えかねて友人女性のもとに身を寄せていました。
近年,恋人や夫婦間のDVが急増しており,そのうち,二十三人に一人の女性が生命に危険を感じる程の暴力を受けているという統計もあります。
暴力を振るう方がもちろん悪いのですが、暴力を振るわれる方にも暴力を受け入れてしまう「依存性」がある、と指摘する専門家もいます。つまり、DVの根本は、「相互依存」です。普通の感覚だったら、「一回でも暴力を振るわれたなら、さっさと離婚すればいいのに。何故、別れないのだろう?」と思いますが、「依存」しているわけですから、そう簡単に別れられません。「好きだから」という理由かもしれませんが、それは「依存」しているだけであって、実は、双方とも心に大きな闇を抱えている場合が多いのです。
DVをする男は、殴った後に、「本当にゴメン!もう、二度としないよ。」と優しい言葉でフォローし、殴られた女性は「この人は本当は優しいんだ、いい人なんだ…」と思い込もうとします。殴られた女性も、幼少期の親の愛情不足などが原因で自我が確立しておらず、殴られても、毅然と「止めて!もう別れる!」と言えない…。それどころか、「私がいなければ、この人はダメなんだ…」と思い込もうとする。彼女たちは、男の表面上の優しい言葉だけを信じて、その人の本性が現れている「暴力」には目をつぶってしまうのです。DVをする男も、そんな女性を直感的に見抜き、近づいていきます。
DVは犯罪行為
今回の事件では、DVという特殊な男女の依存関係の間に入った友人女性が命を落としてしまいました。頭や腹を何回も包丁で刺されていたそうなので、友人女性は、妻側に立って離婚の話しをしているうちに、夫から「敵だ!」と思われたのでしょう。
昔から「夫婦喧嘩は犬も食わない」と言うくらいですから、男女の問題は、本来、第三者が立ち入れる話ではありません。しかも、DVは夫婦喧嘩ではなく、常習的な暴行・傷害であり、犯罪レベルの話です。そう考えると、一般人が、犯罪者と対峙し、そこに無防備に介入していくということが、いかに危険なことかがわかります。私も、DV関係の相談では細心の注意を払います。いつ、不測の事態が生じてもおかしくないからです。
DV被害については、警察に被害届を出す、弁護士に相談する、第三者機関(ホットラインなど)の専門家の知恵を借りることと、いわゆる「シェルター」に身を隠すなどの具体策を取ることが大切です。悲劇を繰り返さないために…。それでは次号で!
ビジネス情報誌「フォーNET」掲載:2013年3月