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【タックル法律講話】ますます増える「クレーマー」トラブル! そのクレーマーは、「経済型」か?「人格障害型」か? タイプを見分けて、対応することが肝心です。
2013/09/15
ますます増える「クレーマー」トラブル!
そのクレーマーは、「経済型」か?「人格障害型」か?
タイプを見分けて、対応することが肝心です。
クレーマーの2タイプ
最近、「クレーマー」による被害相談が増えています。クレーマーとは、企業の商品・サービスなどに苦情(クレーム)を申し付け、過剰に被害者を演じ、脅しとすら思えるような言動を執拗に繰り返す者のことを指します。
クレーマーのタイプは、「経済型クレーマー」と「人格障害型クレーマー」の大きく2つに分けられます。実際は、両タイプの「混合型クレーマー」が多いです。
経済型クレーマーは、何でもイチャモンをつけて金を取ってやろう、という人達です。お金が目的ですから、お金が取れないとわかると、意外とあっさりと引いていきます。彼らは、「時間と手間」がかかることを嫌いますので、弁護士としても対応しやすいタイプです。
厄介なのは、人格障害型クレーマーです。なぜなら、彼らの真の目的が「他人の苦痛」だからです。他人が自分の言動によって苦しむ姿を見て優越感に浸り、自己の存在感を確認する、という歪んだ人格です。このような人物に対して土下座してしまうと、実に悲惨なことになります。これこそが彼らの欲望であり、無限に担当者、責任者を土下座させることに、何よりの喜びを感じるのです。
この「人格障害型クレーマー」は、「自分は他人よりも優越した立場にある」と確信しているため、外見はソフトで人当たりも良く、言葉も丁寧です。また、いわゆる高学歴で、職業も公務員、教師といった中流階層に属し、経済的にも恵まれている人が多いのです。ですから、クレームを言い出すまではクレーマーとして社会において認識されておらず、日頃は、普通の生活を営んでいます。
人格障害型クレーマーは「権威」に弱い?
この人格障害型クレーマーは、経済型クレーマーと異なり、「経済的合理性は通用しない」ことを肝に命じなければなりません。「金銭解決」の提案が彼ら人格障害型クレーマーの自尊心を傷つけ、火に油を注ぐこともあります。
では、どうするか?私がアドバイスしているのは、「ステージを変えていく」ということです。自分たちで対応してもラチがあかない→弁護士に対応してもらう→ラチがあかない場合は裁判所での調停(話し合い)へ→ラチがあかない場合は訴訟へ、というように、徐々に対応の段階(ステージ)を上げていくのです。
人格障害型クレーマーの多くは、高学歴、中流家庭ということもあり、実は、「権威」に弱いのです。弁護士が窓口になっただけで、コロッと収まる場合もあります。中には、「弁護士なんか関係ない!」と言って、さらにエスカレートする人もいますが、そういう場合は、「裁判官」というさらなる「権威」を活用します。
裁判官も事情をよく分かっているので、「あなたの言い分も分かりますが…」と言って、やんわりと和解に持って行ってくれます。
彼らは、裁判所という晴れ舞台で、自分の言いたいこと言って、「裁判官様が自分の言い分を聞いてくれた!」ということで、自尊心が満たされ、得意げになるわけです。それですっかり収まるケースがあります。それまでは狂ったようにクレームを言っていたのが嘘のように収まるのを目の当たりにすると、逆に、「人格障害」の深刻さを感じますね。それだけ今の世の中が病んでいる、ということなのでしょうか。クレーマーでお悩みの場合は、弁護士への早目のご相談をお勧めします。それでは次号で!
ビジネス情報誌「フォーNET」掲載:2013年9月