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【タックル法律講話】福岡地方裁判所の裁判官が女性修習生にセクハラ!戒告受けて依願退職。 「聖職」の最後の砦には、より一層「高潔さ」が求められます!
2013/12/15
福岡地方裁判所の裁判官が女性修習生にセクハラ!戒告受けて依願退職。
「聖職」の最後の砦には、より一層「高潔さ」が求められます!
軽すぎる処分
既に新聞やネット上で報道されていますが、福岡地裁の裁判官(四〇歳)が、司法修習生(女性)にセクハラ行為をしたとして、戒告処分を受け、結局、一〇月二二日付で、依願退職しましたね。今年の八月一日午前零時ごろ、福岡市中央区の飲食店で、女性司法修習生1人と男性5人で飲食中、その裁判官は、女性に対し、「キスしたい」と複数回にわたって発言。さらに、女性の手を引っ張って引き寄せ、頬に2回キスした、というものです。
処分自体は「戒告」なので軽いものですが、結局、官報に掲載された一〇月二二日にマスコミに報じられ、ネット上でもアッという間に大騒ぎになってしまったので、依頼退職せざるを得なかったのでしょう。世論が騒がしくなったので慌てて辞めた(辞めさせられた?)というところですかね。
それにしても、セクハラ起こした裁判官の処分が一番軽い「戒告」でよかったのか?という疑問は残ります。一般の企業だったら、セクハラは懲戒解雇の対象ですし、退職金も出ません。しかし、この裁判官のように、依願退職であれば、退職金はしっかり支払われます。民間に比べれば、ずい分と甘い処分です。
いずれにせよ、この裁判官は辞めた後は弁護士になるのでしょうか?他にも、不祥事で裁判官を辞めて福岡で弁護士になっている人もいますから、“ヤメ裁”にも注意が必要ですね。
裁判官に求められる「高潔さ」
人の人生を左右する判決を下す裁判官に求められているのは、高潔さ、公平さ、です。中には社会の常識からズレてる裁判官もいますが、基本的には「まともで、きちんとした人」であってもらいたいですね。戦後間もない頃、「ヤミ米」を食べることを拒否して栄養失調で亡くなった裁判官がいましたが、裁判官という職務はそれくらいの高潔さを持っていないと務まらないのではないでしょうか。そうであってこそ、はじめて、国民は、「裁判」というものを信頼し、秩序が保たれるのです。
裁判官はただの公務員ではない。国家国民のために役立つ裁判官を育てるために、莫大な税金が投じられています。給与体系も高く、身分保障もあります。
今回の裁判官も四〇歳ですから、まさにこれからが働き盛りで、経験を生かして良い判決をどんどん出すことができたでしょう。一人の裁判官が途中で辞めてしまう、ということは、大いなる国家的損失でもある訳です。「セクハラぐらいで運が悪かった」「裁判官も人間なんだから」ということではなく、「せっかく育ててもらったのに、国民に対して大変申し訳ない」ということだと思います。
かつては、「聖職」として皆から尊敬されていた教師や医者に対する信頼が大きく失墜している現代で、「聖職」の最後の砦とも言えるのが、裁判官ではないでしょうか。
裁判官には、裁判官としての覚悟と自制心、高潔さが求められています。それだけ、厳しく、責任の重い仕事なのです。それでは次号で!
ビジネス情報誌「フォーNET」掲載:2013年12月